「NICHIAではたらく」を知るマガジン

2025.04.25
【中途向け】製造現場の効率化を下支えする アイデア力とソフトウェア開発力

生産プロセス・品質部門
生産技術本部 生産技術第二部T.M.
2004年入社
※所属は2025年2月28日時点
培ってきたソフトウェア開発スキルをLED生産装置の制御に活かす
現在所属されている部署と仕事内容について教えていただけますか?
生産プロセス・品質部門、生産技術本部、生産技術第二部に所属しています。LEDなどの製品を開発・製造するための生産装置を作る部署で、私はそうした装置を制御するソフトウェア開発に携わっています。社外から買う装置もありますが、特に「マル秘」情報の多いコア技術に関わるところはゼロから装置を内製しています。他にも装置とシステムを繋ぐ通信に関しても手掛けています。
開発しているソフトウェアはどのような装置を制御しているのですか?
生産装置は多岐に渡るので色々ありますが、例えば、LEDを製造する際にはサファイア基板上に半導体層を成長させたウェハー(半導体素子の材料である円盤状の板)を小片に分割してLED素子を製造する工程で、ソーターという装置が使用されています。ソーター内部では精密ステージが、x軸(縦)、y軸(横)、z軸(高さ)の三方向に動くのですが、その動きを制御するためのソフトウェアです。サファイアのウェハーは200ミクロン〜1mm角、数万個の個片にカットされます。その一つ一つにソフトウェア上でアドレスをつけて、「ここを取りに行け」「ここを抜くぞ」といったように精密ステージを制御するプログラムなどを開発しています。ちょっとイメージするのが難しいかもしれませんね(笑)。
中途入社ということですが、前職でもソフトウェア開発に携わっておられたのでしょうか?
前職では、電気信号や光信号などの情報を伝送する機器やシステム、いわゆる伝送装置に関わるソフトウェアを開発していました。例えば電話のような細かい信号ではなく、束ねられた大容量のデータを送るような伝送部分ですね。それを12年やっていました。
転職のきっかけは結婚をして子供が生まれたことです。当時は神奈川県の川崎市に住んでいたのですが、子供を育てる環境としてこれでいいのだろうか?と思い始めました。私の出身は富山県で、田舎暮らしというものがちょっと懐かしくなったのもありますけどね。そこで、妻の実家がある徳島県で自分のキャリアを活かせる会社を探し始めたら、やっぱりNICHIAだなと思ってエントリーをしました。それがもう22年前のことです。
自分の思考形態を大きく転換させた「考えて提案する」働き方
入社前のイメージが入社後に変わった事はありましたか?
青色LEDを開発したということをニュースで見た時がNICHIAを知った最初でしたが、すごい会社だなと思っていました。そんな会社に入れた驚きよりも、入ってからの驚きの方が大きかったです。前職では、仕事に対する「ああしなさい、こうしなさい」というある程度の考え方が指示されていました。それがないと僕らは仕事ができないと思っていたのですが、NICHIAでは「アイデアを自分で考える」ということが当たり前でした。そして、考えて提案したものが「何か生まれるかもしれない」というものであれば実行できる。そのための予算もしっかり付く。社員の自由な挑戦を会社が支えてくれる環境を目の当たりにした時に、自分のイメージどころか、それまでの思考形態が大きく変化しましたね。
入社した頃、どのようなことを提案されたのか教えてください。
最初は「こんなこと言っていいのかな?」と戸惑いながら色々と提案していました。私が提案した中で憶えている一番古いものだと、今で言うところのタブレット端末のようなデバイスとプリンターを製造現場に導入したことです。もう20年ぐらい前のことなので、細かいことは覚えていませんが(笑)。製造現場で必要な内容をタブレット端末からプリンターにデータを送って印刷して記録するようなシステムで、現場で働くスタッフの作業効率を改善したいと思ったんです。僕はプリンターは1台でいいと考えていたのですが、一気に200台を導入して全ての装置に付けるとなったことにはびっくりしました。それが最初の衝撃でしたね。生産技術本部では、日々そうした改善を考えて提案、実行しています。
入社2年目の失敗と苦労が製造現場との良好な関係を築いた
生産装置のソフトウェア開発において、今でも思い出に残っているエピソードはありますか?
入社2年目で手掛けた装置は本当に苦労をしたので忘れられないです。個片化されたLED素子それぞれにアドレスをつけるお話を先ほどいたしましたが、ソーターという装置で製品として使うことのできないNGチップを除去しています。その装置を制御するためのプログラムはWindowsで組んでいたのですが、前職ではほとんど経験がありませんでした。どのプログラム言語で開発していくかを悩んだ結果、VB(ビジュアルベーシック)にしようと思ったところからが苦労の始まりでした。結果的にVBは失敗したので、途中で言語をC#に乗り換えたんです。色々と細かな制御もできるようになったので安心したのですが、不具合が出ることがあり、当時は製造ラインが24時間動いていたので、夜中でも連絡が来ていました。今ではそんな働き方はないので安心してください(笑)。
その連絡があるたびに対応をしに行っていたということですか?
そうですね。装置が動かない、変な動きをしている、という電話が掛かってくると修正をしに行って、直ったと思ったらまた次の日の朝方とかに連絡がくるのです。それを自分一人で2〜3時間かけて対応していましたが、製造現場の皆さんは嫌な顔をせず、修正しに行くたびに「ありがとうございます」って感謝してくれるんですよ。その装置が安定するまで半年ぐらいかかったのですが、一つ一つ対処することで製造の皆さんとも仲良くなれましたし、今でもいい関係を築けています。本当に苦しい状況でしたが、いい思い出です。
そういった状況で先輩や上司から何か言われたり叱られたりすることはないのですか?
それぞれの業務に対して責任を持っているのでその重さはありますが、失敗したことを咎(とが)められたりすることはあまりないです。どちらかと言えば、アドバイスやヒントをもらえ、「次頑張れよ!」みたいな感じです。本当にやりたいことをやらせてもらえますし、先輩たちもやりたいことのアイデアを自由に出しています。今のLED製造では当たり前になっているある手法を開発した先輩のアイデアに感動したこともあります。これはNICHIAにとって機密事項にあたるので詳しくは言えませんが、これを読まれている方が入社されたらお教えしますよ(笑)。
DXの導入で製造現場の快適性と効率性を実現していきたい
NICHIAをこれからも支えていくために、どのような取り組みや挑戦をしていきたいですか?
製造現場には、まだまだアナログな部分があるので、今後はタブレットやスマートフォンといったツールを活用して、工場運営を効率化させる改善に取り組みたいと考えています。例えば工程の指示や次の行き先、検査結果などを記載するトラベルシートという用紙も、タブレットやスマホで完結させると印刷もないので無駄がなくなりますよね。そういったアナログなものをデジタルに置き換えてオンラインで共有して管理ができるようになると、効率化だけでなく読み間違えのミスなども減らせるので、いわゆるDX化を図っていきたいと思います。現場の皆さんが快適に効率よく生産していくための下支えをこれからも続けていきたいです。
徳島でこうした先端技術を展開している、やりがいに溢れた企業があることを多くの方に知ってもらいたいですよね。
そう思います。NICHIAではLEDやLD以外にもリチウムイオン電池用正極材料なども作っています。社名に「化学」と入っているように、化学の分野でも活躍ができるのは大きいと思います。本当に色々なものを作っているので、違った分野でもアイデア次第で世界を驚かせることができるんじゃないかと考えています。なので、徳島出身で県外に出ておられる方でも、東京や大阪など県外出身の方でも、安心してNICHIAに来てもらいたいですね。ぜひ仲間になって、一緒に世界を驚かせる仕事をやりませんか!?と伝えたいです。